円高のメカニズムと現在の円高を引き起こした要因
ここのところ、円高が続いています。円の価値が欧米のドルやユーロといった通貨よりずっと高くなってしまっています。私達の通貨が高いと言うことは、海外旅行に安く行け輸入物を安く手に入れることができ、良いことのようにも思えます。しかし、円高が続くことは、私達の生活にメリットだけでなく大きなデメリットをもたらします。
そもそも円高・円安とはなんなのか。簡単に説明すると、より皆が欲しがる通貨が高くなり、誰も欲しがらない通貨は安くなります。物品で例えると、人気のある絵画はどんどん値がつりあがっていきますが、逆に人気の無い絵画はどんどん安くなっていきます。それと同じことが貨幣にもおきているわけです。通常、通貨の価値が高いということは、その国は景気がよく人々の購買力があり大きな経済力を持っていると言うことになります。逆に、通貨が安いと言うことは、その国が不景気で人々に購買力があまりなく経済力がないということです。
そしたら、円高は日本の経済が良いと言うことの証明なのか。いえ、実はそうではないのです。確かに90年代に起きた円高は日本の強い経済力がもたらしたものでした。輸出力のある日本に対し、各国が円の価値を上げることを要求してきたのです。今回の円高は違います。
2008年のリーマンショックから始まり、欧米では多くの金融機関や投資会社がサブプライムローンのあおりを受け経営危機に陥りました。巨額の投資を回収できなくなり、とんでもない額の債務をかかえることになり、経営再建をせまられました。銀行が事業縮小するということは、全ての経済に関わってきます。多くの企業も投資の回収ができなくなったのにも関わらず、銀行からお金が借りられなくなってしまったのです。日本は欧米ほどひどくはありませんでしたが、例外ではありませんでした。世界にお金が回らなくなると言うことは、誰も日本商品を購買する経済力がなくなるということです。米国のオバマ大統領やEU首脳達が大きな経済対策を打ち出しましたが、劇的な改善は見られません。
失業者が溢れるにも関わらず、企業は雇用に対し積極的になれないでいます。今年に入るとギリシャと言う国自体がディフォルト(債務不履行)を起こしかけ、世界経済をゆるがすところまできました。今回の日本の円高は、欧米の経済状態があまりに悪いために引き起こされたものです。欧米経済があまりに不安定なため、皆が米ドル欧ユーロを手放し比較的ましな円を手に入れようとした結果です。決して日本経済が景気が良くなってきたからではありません。そして、この円高が続けば日本企業はますます製品が売れなくなり、雇用を増やすのが困難になります。誰にとっても全く嬉しくない事態です。